カプセル1 心ある方が これを見てくれたのなら ぜひ マァサ・グレイブさまに この内容を 伝えていただきたい。 私は ブラント。 グレイブ家の執事を務める者だ。 グレイブ家の旦那様と奥様は、 それぞれ高名な 生物学者と物理学者。 政府付けの研究機関に詰められており、 なかなか 家に戻るヒマもなく… 不肖ブラントが、一人娘マァサさまの お世話を 仰せつかってきた。 旦那様方の研究の内容は 政府の重大機密らしく、 私には 詳しいことは判らないが… パイオニア1に乗船が決まった際、 旦那様は 私に こうおっしゃられた。 「パイオニア1には 我々だけが乗る。 おまえと マァサは パイオニア2にも乗るな」と。 なんと 冷たいことをおっしゃるのかと 憤慨し、その時は あろうことか 旦那様に くってかかってしまったが… …怪物が迫ってきたようだ。 続き… また別の… カプセル2 そのとき、旦那様は 何も言わず、自分の端末を ちらりと 見せてくださった。 詳しくは 理解できなかったが、 遺伝子操作の研究を されているようだった。 旦那様は 多くは語らなかったが… 私は 背中に 寒いものが走るのを感じた。 この「パイオニア計画」には ただの移民計画ではない、とんでもない 秘密が 隠されているのではないか!? (… 遺伝子操作の研究? … ブラント…何を言ってるの?) カプセル3 マァサお嬢様は しかし ご両親に 一刻も早く 会いたがった。 だから 旦那様の忠告を無視し、 我々は パイオニア2に 乗ることにしたのだ。 だが、常に不安は消えなかった。 この先 一体 何が待ち受けているのか。 旦那様の研究とは 一体 何なのか。 惑星ラグオルに着いたとき、 私は 矢も楯もたまらず、 しまい込んだ武具を取り出した。 パイオニア1に行き、 旦那様に 真相を聞きたい。 そして、本当に ここが危険ならば、 なんとか マァサお嬢様だけは どんなことをしても 守らなければ。 私は マァサお嬢様に何も告げず、 惑星ラグオルへの転送装置に 忍び込んだ。 カプセル4 しかし、惑星ラグオルに降りた 私が 見たものは、 想像を超える惨状だった。 完成なったという セントラルドームの無惨な姿。 徘徊する謎の怪物たち。 パイオニアの人間など 誰ひとり 見かけない。 旦那様や奥様は どうしてしまったのか。 もし 亡くなったとしたら、 どんなにか マァサお嬢様が 悲しむだろう… カプセル5 久しい戦闘で 私も かなり手傷を負った。 もう これ以上、 旦那様を探すことはできぬ。 それどころか、 お嬢様の元へも 帰れぬかもしれん。 ああ、もうダメだ。 怪物に 取り囲まれた。 ヤツらが…迫ってくる。 私も もう だいぶ長いこと生きた。 生涯に悔いはないが お嬢様のことだけは 心配だ。 両親から隔たれ、いつも 寂しい思いをされていた マァサお嬢様… これでまた 私までも いなくなってしまったら… マァサお嬢様… 別の船で行かれたので 誤解されていたようですが… 旦那様と奥様は お嬢様のことを それはそれは 愛してらっしゃいました。 お願いだ…このメッセージを 見ている方…パイオニア2にいる マァサお嬢様のことを 頼む… マァサお嬢様… 強く生きてくだされ… ブラントは いつも そばに おりますよ… さようなら… … … … |